成田国際空港30万回容量拡大に関する久住・下総地区申入書


成田国際空港30万回容量拡大に関する申入書

平成22年3月15日

成田市議会議長小池正昭様

成田市久住地区空港対策委員会
会長 成尾政美

成田市下総地区空港対策委員会
会長 堀江昭夫

 貴職におかれましては、空港問題解決にご尽力を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 さて、昨年10月の国交大臣による羽田空港ハプ化発言に端を発した成田国際空港30万回容量拡大の急速な動きに関し、久住地区及ぴ下総地区の騒音下住民は大変な'危機感を抱いております、.

 先般、当委員会の要請で開催した成田市と成田国際空港(株)による説明会で、30万回容量拡大案の各種説明がありました。その中で、全体で現在の1.5倍、平行滑走路に至っては2.3倍の運用増になるにも係わらず、騒音地域が狭まるとのことでしたが信じ難く、到底納得の行くものではありません。

 現在まで、新東京国際空港公団の民営化時に於ける覚書や、平行滑走路北延伸時の要望事項の多くが未だに解決しておりませんし、今春からの22万回運用開始後の騒音被害の検証もこれからです。このような現状で、昨年12月、騒音被害を受ける住民に対して、事前に全く説明なしに30万回容量拡大方針が決定されました。

 これら一連の動きは、円卓会議・シンポジウムを契機に成田方式と呼ぽれた民主的な政策決定方式に逆行するもので、誠に遣憾であります。

 ついては、別紙理由により、今般の四者協議会で方針を決定した30万回容量拡大案を白紙に戻し、真摯に空港と地域の共生・共栄のための議論を騒音下住民と始めるよう関係当局に働きかけて頂きたく申し入れします。

(別紙)

(民営化時、北延伸時の要望事項のうち残された課題について)

 本年3月には22万回の運用が始まる中、公団民営化時点での要望事項や、平行滑走路北延伸時の要望事項の多くが未解決のままで、これらの問題解決を先送りして、容量拡大の議論をすることは本末転倒であります。
 また、昨年3月の成田空港での航空機事故は、飛行経路直下で住まう騒音下住民にとって、身近な場所でも起こりうるとの恐怖感に襲われました。落下物も根絶されていない中、容量拡大によってその危険性は増大することになり、危惧や不安を抱くのは自然であります。
 空港公団民営化時の覚書に記載された課題や、平行滑走路再北延伸時の要望亭項の内、残された課題の早期解決が先決であります。

(Ldenによる予想コンターの作成と22万回運用開始後の騒音測定実施について)

 平行滑走路が、2,180mで暫定供用された時点で発覚した逆転現象により、現行評価方法に対する信頼性はなくなり、3年後の平成25年4月からはWECPNLによる
評価方法からLdenによる評価方法に改正されることになっております。
 今回のコンターは制度上WECPNL値で予想せざるをえなかったことは理解できますが、平成31年時の予想であればLden値によるコンターも示し、比較検討の資料を提出すべきと考えます。
 また、平行滑走路の2,500m化整備が完了し、昨年10月より前倒しで大型機が飛来しておりますが、関係地区住民立合での騒音測定を実施し、測定後WECPNL値とLden値で公表し、22万回時の騒音を検証することが先決であります。

(深夜・早朝便の運用制限について)

 予想コンターが発表された昨年12月の四者協議会の席上で、空港周辺自治体の首長発言として、深夜早朝の運用制限の緩和や、撤廃、24時間空港化を目指すべきとの発言が新聞紙上で散見されました。
 成田市が、京都大学と共同実施した『航空機による騒音地域への影響調査』でも、現状の夜間の航空機騒音が、睡眠や人体の健康に影響を与えていることを指摘しております。
 騒音下住民にとりまして、安眠時間の確保は、健康で安心して住み続けることが出来る最低の条件であって、22時台10便以下の運用は、可能ならば減便、廃止して欲しいと言うのが騒音下の願いであります。
 深夜運行制限について、今般の予想コンターは「引き続き遵守に向け取り組む」ことを前提に描いたとのことですが、今後と,も騒音地域の住民の健康と生活を守る意味において、当初からの約東を厳守することが共生の原点であります。

以上


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