成田空港の軍事利用問題についての質問書と回答
成田市長 小泉一成 様
平成19年9月13日
成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内昭博
貴職の成田空港関係の諸対策に対するお力添えに感謝致します。
私たち成田空港から郷土とくらしを守る会は成田空港建設当初から成田空港の軍事利用について心配し、旧空港公団や旧運輸省航空局長とも話し合いを行い、「成田空港を軍事的に利用する事はしない。」旨の約束を取り付けています。(別紙「航空公害に関する交渉覚書」を参照)
また、故長谷川録太郎元成田市長は成田空港が軍事的に利用される事を心配し、成田空港にアメリカ軍の郵便局が設置されないように旧運輸省航空局長や旧空港公団総裁に問い合わせ、「軍事施設は設けない。」旨の回答を得ています。(航空局長回答;昭和46年11月22日 運輸省空新第76号、空港公団総裁回答;昭和46年10月19日 空公企画第298号を参照)
ベトナム戦争当時、羽田空港には米軍のMACチャーター便が数多く出入りしていました。もし、ベトナムに攻撃能力と攻撃意思があれば、羽田空港は当然攻撃を受けていたはずです。(MACチャーター便については本会のホームページ「成田空港サーバー」を参照にしてください)
このように、どのような形にせよ成田空港を米軍や自衛隊が利用する事は紛争状態になった時に、相手方から攻撃の対象となります。
もし、攻撃された時には成田市民だけではなく、成田空港周辺の人々や成田空港利用者や成田空港で働く人々の安全が保障されない事になります。
さて、貴職は平成19年度6月定例市議会におきまして、「成田市国民保護計画」に関する馬込勝未議員の質問に対して、「軍事使用をするかしないかは市民の命の危険性・安全という視点から、使用する、しないの判断をさせていただきたいと考えます。」とする趣旨の答弁を行ったとの事ですが、この答弁の真意をお聞かせください。
貴職のこの答弁は私たちや成田空港周辺住民が建設当初より積み上げてきた「成田空港は純然たる民間空港である。」とする、約束や建設に際しての地域の共通認識を反故にし、成田空港の軍事的利用に道を開くものと危惧し、この質問書を提出しました。
お忙しいとは思いますが、回答は9月28日までに、下記宛に送ってください。
成危第339号
平成19年9月28日
成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内昭博様
成田市長 小泉一成
回答書
成田国際空港の軍事利用問題に係る質問につきまして、下記のとおり回答いたします。
記
(質問)平成19年6月定例市議会において、「成田市国民保護計画」に関する馬込勝未議員の質問に対して、「軍事使用をするかしないかは市民の命の危険性・安全という視点から、使用する、しないの判断をさせていただきたいと考えます。」とする趣旨の答弁を行ったとの事だが、この答弁の真意をお聞かせください。
(回答)「武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律(特定公共施設利用法)」により、成田国際空港は、武力攻撃の排除のために使用できる公共施設となっております。有事において、空港等の公共施設を利用する際には、国の対策本部長は、関係する地方公共団体の長等に意見を聴かなければならないとなっておりますが、その意見が利用の可否を拘束するものとはなっておりません。しかしながら、その使用により市民の安全が脅かされることの無いように、市民の生命、身体、財産を守る責務を有する自治体の長として、政府に対し自治体の意見が反映されるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。また、本市は、世界連邦平和都市宣言、非核平和都市宣言と二つの平和都市宣言を行い、平和への願いと意思を表明しています。恒久平和の確立に努めることが市民の安全安心につながるものと考えます。