成田空港が昭和53年に開港してから2年ぐらい経って空港周辺で氷の塊の落下が確認されました。空港南側の飛行コース直下にある、山武郡松尾町長谷の田んぼに重さ5キログラムもあろうかと言う青色の氷塊が落下したのです。氷塊の落ちた数メートル先にはおばあさんが歩いていました。
ちょうどその時、上空を成田空港に着陸する航空機が通過していきました。青い色は飛行機のトイレに流れる水の色です。
氷塊が落ちた乾いた堆肥には氷塊が落ちたことを示す窪みが残っていました。
これ以後、空港周辺で航空機からの落下物が大問題になりました。ビニールハウスに穴を開けたり、トタン屋根を打ち抜いたり、瓦を割ったりと事故は続きました。
部品の落下もありました。しかし、成田空港周辺は農村地帯です。発見される落下物は氷山の一角と考えなければいけません。氷塊は溶ければなくなってしまいますし、部品でも山林に落ちれば発見されることは少ないと考えられます。
平成13年までに分かっているだけでその数約140件です。詳しくは下の表を見てください。
住民の抗議に慌てた運輸省と空港公団は本会の指摘(昭和55年9月24日)もうけて、着陸するときは太平洋上で脚下げを行わせるなどの対策をとりました。これは、落下物事故のほとんどが着陸時に起きていることから、脚下げのショックで機体に着いた氷がはがれ落ちると考えられたからです。また、部品の落下を防ぐために、各航空会社に整備の徹底を要望したりしました。
しかし、落下物事故はなくなりません。そこで、落下物による事故や器物の破損が起こり、原因となる航空機が特定されない場合に備えて、各航空会社が出資する保険制度を創設しました。つい最近も東北地方で起こった落下物事故に対して、この保険が適用されました。
しかし、不思議なのはこのような落下物事故の話は他空港ではあまり聞かれないのに、何故、成田空港だけに発生するのかということです。