芝山町が出した国土交通大臣への要望書

 芝山町は9月2日に下記のような要望書を国土交通大臣宛に提出しました。また、ほぼ同内容となる要望書を同日付で千葉県知事と成田国際空港株式会社社長にも提出しています。


平成20年9月2日

国土交通大臣 谷垣禎一 様

芝山町長 相川勝重

芝山町議会議長 平山 弘

要  望  書

 成田国際空港が、日本と世界の経済活動を支える国際拠点空港として、大きな事故もなく開港30周年を迎えられたことは、国土交通省をはじめ関係各位が鋭意取り組んでこられたものと、敬意を表するものであります。また、開港以来、地域との共存・共生そして共栄へと、騒音対策や地域振興を進められ、地元、芝山町として深く感謝申し上げます。

 現在、成田国際空港では機能充実と安全のため、北側延伸により平行滑走路が整備され、その供用開始に伴って発着回数が20万回から22万回に増加されます。騒音直下の芝山町として、今までの覚書や確認書、要望項目の課題に検討を加えるため、「芝山町・成田空港共栄推進委員会」を立ち上げ、昨年12月には最終のとりまとめをし、直面する課題として5つのテーマを選出、項目を整理したところです。その折は、関係各位にはご多忙の中ご協力を賜り、また、その後の推進につきましてもご支援をいただき、衷心より御礼申し上げます。

 日本の空港の国際競争力強化のため羽田空港を国際化し、首都圏の機能拡大がなされようとしております。しかし、芝山町は成田国際空港が我が国最大の国際拠点空港であると認識し、騒音下住民の理解を得て協力をしております。また、空港周辺9市町で「成田国際空港都市づくり推進会議」を設置し、空港の機能拡大と空港を核とした地域づくりを推進しているところです。

 芝山町は面積で約7割、人口で約8割が成田国際空港に起因する航空機騒音にさらされていますが、地域にとって空港は必要不可欠な施設となっています。発着回数22万回の検証が最優先されるべきではありますが、空港の機能拡大に芝山町も騒音下住民の理解のもと最大限努力し協力していく所存ですので、芝山町民が騒音を我慢しながらも空港と共栄していると実感出来る町づくりのため下記事項を要望いたします。

1、芝山町・成田空港共栄推進委員会のか第4項目への対応
 同委員会の課題5項目のうち、進展した「谷間地域における騒音対策の充実」を除く次の4項目

(1)芝山鉄道道の延伸
 芝山鉄道の延伸は「地域と共生する空港づくり大綱」でも謳われておりますが、空港南側地域の発展のため現時点における延伸の可能性を踏まえた調査について、国の「地域公共交通活性化・再生総合事業」を活用したいと考えております。当該事業の採択と調査への協力並びに調査結果を推進すること。

(2)道路整備事業
 物流関連大型車両や空港関連企業への通勤車両の混雑緩和のため、空港周辺道路を整備すること。
 なお、「成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律」(成田財特法)が来年、平成21年3月末に法期限を迎えますが、空港周辺の混雑緩和のための道路及び空港隣接地域に相応しい環境の下水道を整備するための財源が必要ですので、補助率の嵩上げなどがある成田財特法の期限延長を別途要望しています。

(3)騒特法に基づく「防止特別地区」の取り扱い
 防止特別地区の内外で騒音レベルに大差がないか騒音実態調査を成田国際空港株式会社が行うこととしていますが、その基礎データをもとに騒音対策において住民の願いを最大限尊重し、騒特法による見直しの可能性を検証すること。また、法以外での対策の検討についても協議すること。

(4)地域と共栄する成田国際空港の将来展望
 地域と空港の共栄に向けて前進するには、互いが協力して我が国最大の国際拠点空港としての存在感を確固たるものとすることが不可欠。平行滑走路の整備や発着回数の増加による空港南側に及ぼすプラスの波及効果をシミュレーションしつつ、地域の活性化につながるよう、雇用の拡大や観光振興等、同効果を生かした町づくりに協力すること。
 芝山町は空港の魅力やこの波及効果を発信してしていくものとする。

2、環境対策・外資規制等の空港法への盛り込み(制度化)
 成田国際空港株式会社の完全民営化に当たっては、環境対策・共生策が引き続き、確実に実施されるよう空港法で担保すること。また、安全保障や空港経営の安定化のため、外資規制等を空港法に盛り込むこと。

3、発着回数と羽田成田の内際分離について
 首都圏の国際空港需要の増大から、2010年には羽田空港の国際線昼間約3万回、深夜早朝約3万回(合計約6万回)の就航が計画されていますが、今まで踏襲されてきた羽田と成田の内際分離や成田国際空港における歴史的意義を踏まえて、羽田をなし崩し的に国際化しないこと。


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