空港シャトルバス紀行

(2001年8月31日)


 8月下旬のある日、ふと思いついて、空港シャトルバスに乗って、9年前まで住んでいた九十九里地方を訪ねることにしました。
 10時に家を出て、京成電車で成田空港に向かいました。第1ターミナルについたのが11時20分頃でした。空港シャトルバスの乗り場は、バスターミナルの11番(もっとも、始発駅である「第2ターミナル」では何番になるかわかりません。)でした。時刻表を見ると、12時40分となっています。ちょっと、ショック。待ち時間が1時間以上あります。
 仕方がないので、ターミナルに戻り、新しくオープンした旧中央ビルのショッピング街を見て回り、その後、5階の展望デッキに行きました。ここは、A滑走路を離着陸する、航空機が見られます。5階には、コンビニやファーストフードの店がいっぱいあります。4階のレストランは高いのですが、ここは、安くてすいています。テーブルは屋内にも屋外にもありますので、天気によって選べます。コンビニで買ったサンドウイッチを外のテーブルで食べました。
 その後、発着する航空機の写真を撮りました。この日は北よりの風で南側着陸・北側離陸でした。成田空港では珍しい双発のプロペラ機が降りてきました。自衛隊機かもしれません。要人の送り迎えでこのごろは良く使われるようです。ディズニーキャラクター塗装の日本航空ジャンボ機が離陸していきました。また、10月からは見られなくなるサベナ・ベルギー航空機が離陸していきました。結構珍しい飛行機が見られたので大満足。
 12時30分にバス乗り場に降りていきました。誰もいません。でも、35分頃になったら幼児とお母さんの20人ぐらいの団体がどっと来ました。いよいよバスが来て、みんな、どっと乗り込みます。小さな子供がいるのでにぎやかなこと、にぎやかなこと。
 ちなみに、料金は空港内から九十九里海岸まで大人300円・途中で降りる人は200円です。身体障害者手帳を持っている人と小学生は半額。乳幼児は無料です。距離の割に何しろ安い。成田空港から終点の「横芝海のこどもの国」までは距離で約27Kmあります。所要時間は約40分です。
 成田空港内の停留所は「第2ターミナル」・「第1ターミナル」・「京成東成田駅」の3カ所です。成田空港を出て、すぐの「航空博物館入口」で親子2人連れが降りました。
 芝山町の途中から県道成田ー松尾線、通称「はにわ道」に入ります。「はにわ道」の由来ですが、芝山町には通称「芝山仁王尊」と呼ばれる立派なお寺があり、この周辺一帯が「芝山公園」となっています。このあたりも、飛行コース直下になり、この公園も周辺対策事業の一つです。この公園の中に「はにわ博物館」があります。この近くの横芝町に芝山古墳群があり、殿塚・姫塚と呼ばれる古墳から日本でも数少ない立派な埴輪が出土しているのです。
 この県道成田ー松尾線もほぼ飛行コースに平行しており、周辺対策事業の一つで、拡幅されたものです。畑や山林の中を一直線に九十九里浜に向かいます。
 下総台地から九十九里平野に出るところに唯一の「猿尾トンネル」があります。「トンネルを出ると雪だった。」とは川端康成先生の「雪国」の出だしでしたが、空港シャトルバスではトンネルを出ると、前方に九十九里平野が広がり、天気が良ければ太平洋が望めます。この日は残念ながら太平洋は見えませんでした。
 トンネルを出てすぐの「松尾五反田」の停留所で幼児とお母さんのグループが降りました。急に静かになります。この停留所のそばに松尾町で作った自転車置き場がありました。停留所の近く(約1Km)にJR総武本線松尾駅がありますから、駅に行く人たちが利用するのでしょうか。
 バスは九十九里平野の中をひたすら走ります。両側は田圃が多く、もう、稲刈りが始まっていました。この間の台風で稲が倒されていて、農家の苦労がしのばれます。
 九十九里海岸に近づくと海岸線に平行な集落と林が見えてきます。7月の末や8月の始めの週末は海水浴の車で渋滞が激しいのですが、もう、8月の下旬と言うことで渋滞はありません。海岸の道路に突き当たると、そこはもう「蓮沼海浜公園」でバスは「蓮沼ウオーターガーデン」停留所には停まらず、終点の「横芝海のこどもの国」に着きました。1時15分です。
 「横芝海のこどもの国」は色々なプールがある施設です。海岸までは歩いて5分ですから、海で泳いでも良いし、波が荒ければプールで泳いでも良いわけです。この日も、家族連れで結構にぎわっていました。
 帰りの空港シャトルバスの時刻表を見ると、次は2時35分です。また、1時間20分ほど時間があります。プールで泳ぐ支度もしてきませんでしたので、2Km離れた「蓮沼ウオーターガーデン」まで歩き、そこから乗ることにしました。


 途中でバス通りから防砂・防風林を兼ねた背丈の低い松林を抜けて、九十九里浜に出てみました。海岸には人影はありませんでした。左右に砂浜が延々と続いています。遠くに貝を拾っている人がちらほらと見えるだけです。
 私は夏の喧噪が去った、この時期の静かな九十九里浜が好きです。どこまでも広い砂浜を歩いていると、ストレスが飛んでいくようです。荒されていないきれいな風紋を踏みしめて歩くのもいいものです。
 このあたりも、飛行コース直下になりますから、潮騒とともに飛行機の音が聞こえてきます。今日は着陸ですから、それほどうるさくはありません。雲間にジャンボ機の影が通り過ぎていきます。
 「蓮沼ウオーターガーデン」を2時38分発の空港シャトルバスに乗りました。乗ったとき客は私独りでした。結局、空港に着くまでの客は11人でした。運転手さんに「混むこともありますか。」と聞いたところ、「満席になったことはないね。」との答えでした。
 「京成東成田駅」に着いたとき、警備員が乗り込んできて、乗客に「身分を証明するものを見せてください。」と全員の身分を確認していました。過激派のテロ対策のためです。
 「第1ターミナル」駅でバスを降りたのは3時15分でした。お疲れさまでした。でも、九十九里浜まで結構近いと感じました。時間に合わせて日程をくめば、便利だと思います。下に「空港シャトルバス」の時刻表を載せておきます。