成田空港の運用時間延長に反対する声明


成田空港の運用時間延長に反対する声明


成田空港から郷土とくらしを守る会

2009年12月29日


 成田空港圏自治体連絡協議会は、12月15日に成田国際空港株式会社に対して成田空港の運用時間延長を検討するように要請しました。
 これは、騒音下住民をないがしろにした暴挙となります。私達、成田空港から郷土とくらしを守る会は空港の運用時間を延長することに、次の3点から反対します。

1, 成田空港の運用時間を「午前6時から午後11時まで」と決めたのは、当時の故友納千葉県知事が大型内陸空港による航空機騒音の県民への影響を心配して、当時の運輸省と交渉し、約束させたものです。従って、この約束は成田空港を現在の地に建設するに際しての、県民に対する基本的な約束でした。
  これを、地元とはいえ、周辺自治体の首長が勝手に変更を要請できる性質のものではありません。新聞報道では「地元の要請」とされていますが、住民への一切の説明もない今回の「要請」は「地元の要請」とは言えません。
 直ちに撤回するべきです。

2,現在の運用時間でも、騒音下住民が静かに眠れるのは7時間に過ぎません。
  騒音の睡眠に与える影響につては、色々な調査結果があります。2007年3月に発表された成田市の「地域の環境と生活に関する調査報告書」においても、成田空港に発着する航空機の騒音が住民の睡眠に影響を与えていることが報告されています。
 また、2008年2月14日に報道された「EUにおける約5000人を対象とした研究調査」では、「空港周辺住民が心臓発作や脳卒中などの引き金となりかねない高血圧症を患う確率は、他の地域の住民に比べて約50%も高い」との結果が出ています。
 さらに、この報告書によりますと、「寝室内の航空機による騒音が10デシベル上がる毎に血圧は14%上昇する」とのことです。
 また、別の研究によれば、「睡眠中、40デシベルの音でも脈拍数の上昇や睡眠の覚醒がみられる」とのことです。
 成田空港圏自治体連絡協議会後の記者会見で、「運用時間を前後1時間程度延長したらどうか」との発言があった、と聞いています。これが、現実のものとなりますと、騒音下住民が静かに眠れる時間はたった5時間になってしまいます。特に、持病を持った人や体調の悪い人や幼児など弱者への影響は深刻となります。
 これでは、憲法が保証した「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を成田空港周辺住民から奪うすることになります。
 千葉県や地元自治体が今、行わなければならないことは、航空機騒音が住民の健康に与える影響についての、大規模で医学的調査ではないでしょうか。
 「運用時間の延長」は、このような調査の結果に基づいて検討されるべき課題と考えます。

3,成田空港圏自治体連絡協議会では運用時間の延長の見返りとして、「この時間帯の着陸料を地元の対策に充てる」との意見が出たそうですが、「周辺対策の充実」は当然のこととしても、周辺対策が上記の「健康への影響を防ぐもの」となり得ないことは明らかと考えられます。

以上

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