嘉手納基地と普天間飛行場を見る


 2013年2月21日に、沖縄の米軍嘉手納基地と普天間飛行場を見てきました。嘉手納基地は1987年9月23日に沖縄であった金環日食を観察したときに、西側の海岸から見たことがあります。この時に撮影した写真は2013年3月10日の出来事に載せておきました。

☆沖縄の新聞に「軍用地買います」の広告
 沖縄のホテルで朝食のときに、地元の新聞を読んでいたら、「軍用地買います」の広告が出ていました。最初は「どういう事なの?」と意味が分かりませんでした。後で調べたところ、「沖縄にある米軍や自衛隊の基地は、沖縄の人たちが持っている土地を強制的に使っている」のだそうです。そして、その借地料として国が「年間約900億円を地主に払っている」とのことでした。従って、その「軍用地を買う」と言う事は、「買い主が借地料を受け取る」と言うことになります。ところが、この借地料は今までのところ、毎年少しずつ値上がりしています。この値上げ分を考えると、定期預金で預けたり、国債を買ったりするよりも、高利(年率2%程度)になるのだそうです。「安定した高利の投資先」と言うことになります。そこで、沖縄では軍用地は土地の広さではなく、この借地料で売買されます。値上がりを見越して、例えば、「年間借地料×35」などの計算で売買されるのです。そこで、「返還される見込みのない土地ほど高値(掛ける数字が高くなる)で売買される」とのことでした。ただし、返還されることや、借地料が下がるリスクがありますが、借地料を国からもらうのですから、「確実な投資先」と言うことになります。しかし、沖縄の人たちは祖先を大切にすることから、売りに出す人は少ないそうです。

☆嘉手納基地
 レンタカーで嘉手納基地に向かいました。はじめに、滑走路西端にある「砂辺馬場公園」に向かいました。ここは、太平洋戦争の時に、米軍が沖縄に真っ先に上陸した海岸だそうです。
この日は、曇っていましたが、海の色は青く、海岸は珊瑚で真っ白でした。しかし、この日は、訓練の時間でなかったのか、軍用機は飛んできませんでした。

砂辺馬場公園上陸記念碑
道の駅 かでな」屋上が展望台

 そこで、次に、嘉手納基地の北側にある「道の駅 かでな」に行きました。ここの展望台からは、嘉手納基地がほぼ、一望できます。時々、F-22ラプター戦闘機(多分)が3機編隊で離着陸していました。騒音はすごいですが、撮影が忙しく、持って行った簡易騒音計(2012年6月16日出来事参照)で測定出来ませんでした。

 その内、対潜哨戒機のP-3オライオンがこちら側の誘導路を移動して行きましたが、この騒音は約90dB(A)でした。
 なお、この簡易騒音計はピークレベルは精密騒音計に比べて高く出ますが、安定した定常的な音は、精密騒音計と比べても差は1dB程度しかありません。誘導路をゆっくり移動しているときの音はほぼ一定していますので、正確と考えて良いようです。
 基地は厚いコンクリートの塀とフェンスで囲われていますが、さらに、その外側に金網のフェンスがあります。しかし、このフェンスには出入り口があるようで、中で畑を耕作し、野菜などを作っている人がいるようです。一般の人も、ここに入る事ができ、基地を見渡すことが出来るようで、この日もここまで行って基地を見ている人が結構いました。

誘導路を行く「P-3オライオン」、手前に見学者
掩蔽壕の前に駐機する「F-22ラプター」

 嘉手納町は面積の88%が嘉手納基地になっています。従って、町の人たちは基地の周辺に固まって暮らしています。一方、基地の西側部分には米軍人の居住地域があり、広大な緑の芝生の中に、瀟洒な住宅が点在しています。25年前に行ったときは基地内のゴルフ場でゴルフをしている人がいました。ゴルフ場が今もあるかどうかは、確認できませんでした。
 「道の駅 かでな」には、基地についての「学習展示室」があります。昼食はここのレストランで「ソーキの味噌煮込み」1250円を食べました。その量の多さにびっくりしました。肉も軟らかく、美味しかったのですが、とても食べきれませんでした。

ゆとりのある米軍人住宅
「道の駅 かでな」の学習室

☆普天間飛行場
 次に、普天間飛行場に向かいました。普天間飛行場を見渡すには、少し離れていますが、基地の南西にある「嘉数高台公園」が良いようです。ただ、ここは道が非常に分かりにくく、Googlemapでも名前が出てきません。道路案内標識では「京都の塔」と出てきますので、これに沿って行くと良いでしょう。ここで、京都府出身の兵士が約2500人亡くなっているそうで、忠霊の塔が建っています。
 展望台には地元の人が2人、双眼鏡をもって基地の中を監視していました。「15分ぐらい前に、オスプレイが飛んだよ」と教えてくれましたが、私のいた間には軍用機の発着はありませんでした。

3機のオスプレイが駐機しています
エンジンを止めた状態ではプロペラが内側に折りたためます

 写真でも分かるように、飛行場の間際まで、住宅がびっしりと建っています。この上を、軍用機が飛行するのですから、その騒音と、墜落の心配によるストレスは大変なものと思います。

 写真の右側(写っていませんが)にある、沖縄国際大学(動画と写真があります)に、2004年8月13日午後2時15分頃、米軍の大型ヘリコプターが墜落しました。幸い、夏休み中で、大学関係者に負傷者はありませんでした。原因は米軍の整備不良でした。
 ここは、普天間基地を見る良い場所なので、修学旅行の高校生がタクシーでひっきりなしに訪れていました。タクシーの運転手さんを「おっちゃん」呼ばわりをしているのは、ご愛敬でしょうか。


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