声 明 


LAKESポイント付近における高度変更案の再検討を求める

2006年1月4日
成田空港から郷土とくらしを守る会


 国土交通省は成田空港の着陸開始点LAKESポイントの高度を「6000フィートから6000フィートと4000フィートの2段階にしたい。」と佐原市等に提案し「早急に了解が得たい」としています。
 この提案は北総地域一帯の住民の騒音被害を拡大するもので、下記に述べる理由から見過ごす事は出来ません。(詳しくは別紙「検討資料1・2」を参照して下さい。)
 本会としても成田空港の機能拡充に一概に反対するものではありませんが、真の共生は「急がば回れ」の教訓通り、騒音被害を被る住民との十分な議論によって成立するものと考えます。
 LAKESポイントの6000フイートと4000フィートの2段階化の再検討を求めます。

1 70デシベルを超える高騒音が発生する
 国は「現在65.5デシベル、変更後67.6デシベル」と説明しましたが、これは記述間違いで、2000フィートの騒音差から69.0デシベルが正しものと考えられます。
 しかも、この値は平均値であり、空港周辺の実測値は±10デシベル程度のズレがありますから、騒音は60〜80デシベルと予想されます。
 70デシベルを超えると会話や睡眠に障害が発生することはこれまでの研究で明らかで、新幹線騒音の環境基準限度は70デシベルですし、最もゆるい工業地帯の特定工場騒音であっても夜間の限度は65デシベルです。
 高騒音をもたらすボーイング747型機の一日の到着は、現状159機、10年後の予測でも146機です。
 佐原市・栗源町・山田町・小見川町や茨城県の旧桜川村・東町などの騒音は一段と強まる事になります。
 今回の提案は今まで、発生源からの航空機騒音の軽減のため航空機やエンジンの改良に努力してきたメーカーや、低騒音機の導入促進に力を入れてきた国土交通省及び旧空港公団、現成田国際空港株式会社の方針に矛盾するものです。


2 安全も理由にならない
 国は「LAKES6000フィートからB滑走路への着陸は高度処理に余裕が少ない」と説明し、安全面から4000フィートの了解を得ようとしています。
 しかし、B滑走路供用時に「国際基準の最適降下率にするため、LAKESポイントを東へ3.7km移設する」と説明しています。
 B滑走路の再北伸によって着陸経路が320メートル短くなりますが、中間に水平飛行区間もあり、再北伸も理由になりません。再北伸を理由にするなら、LAKESポイントを再度東へ1.8kmほど移設すれば済む事です。

3 混雑緩和は騒音増加を伴わない別案を検討すべき 
 国の案は「LAKESポイントからの1ルートを、上下2ルートに分離して混雑緩和を計る」と説明しています。
 しかし、国は7年前のB滑走路北伸決定時に「面的運用を導入し、年間22万回の発着に対応できる」と説明していました。現在はまだ年間20万回未満ですし、着陸の混雑時間帯を調べると午後1時からの4時間だけです。。
 仮に上下2ルートに分離するなら、B滑走路着陸機は現行方式、A滑走路着陸機は元のLAKES(現LAKESの西約3.7km)まで進んでから降下を始める方式もあります。
 さらに昨年来、羽田空港D滑走路新設に関連し、千葉市や木更津市上空の着陸高度は3000フィートから4000または5000フィートに引上げて騒音を低減することで国土交通省と千葉県は合意しました。同じ千葉県民を対象にして、説明不足のまま着陸高度を引下げることは納得できません。

4 友納知事との約束「6000フィート」厳守すべき
 成田空港は、建設当時の友納千葉県知事と運輸省の間で (1) 利根川〜九十九里浜間は直進上昇・直進降下、 (2) 県内通過高度は6000フィート以上、の約束があります。
 友納知事は、県民の環境保全をおもんばかり騒音をできるだけ少なくすること考慮して前記の協定を結びました。
 当然(1) と(2) はセットであり、特に(2) は当時「御宿の電波施設から利根川までの着陸機は6000フィート以上とする」ことを双方が検討した結果で一般化された表現です。
 国は今回、LAKEポイントから北西、北東、南東、南方向に約18km離れたところに新たなポイント4カ所を設定し、「そこから『着陸』とするのだから通過ではない。協定は遵守している」と考えているようですが、これは友納知事との約束の趣旨から外れています。
 この考えからすると、千葉県北総一帯は低高度への切替えが自由になり、騒音の増加を伴う事になります。

以上

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