千葉県「平成18年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果報告書」を読む

 今年の報告書を見ますと、全体の傾向としては平成17年度の報告書とあまり変わっていません。「A滑走路の騒音は少し改善しているが、B滑走路の騒音はほとんど変わらない」と言うものです。

1、環境基準達成率はやや改善して50.6%
 この調査報告書は平成18年4月〜平成19年3月の期間の測定結果を元にしています。しかし、測定値そのものは成田空港周辺地域共生財団が一元的に管理していますので、そこでの「平成18年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」にあるものを使っています。
 成田空港周辺地域共生財団は「地域指定の線引きが妥当であるかどうか」を監視することが目的としていますので、環境基準についてはいっさい触れていませんし、騒音のコンターも描いてはいません。
 その結果、こちらの千葉県の「報告書」の方が騒音の実態と住民に与える影響を見る上では、はるかに有用になります。

 さて、平成18年度の環境基準の達成率ですが、下記の表のように前年度の結果から3測定局が未達成から達成になり、50.6%とやや改善しましたが、相変わらず、「半分は未達成」という状況です。

 個別の測定地点の達成・未達成は下記の表のようになります。○が環境基準達成地点、×が環境基準未達成地点になります。

2,騒音コンターはほとんど変わらず
 騒音コンターは前年度に比べるとA滑走路では70WECPNLコンターの先端が17年度のコンターに比べてわずかに縮小していますが、南側では相変わらず太平洋に突き抜けています。
 これに対して、B滑走路では南側は変わらず、北側はほんの少し縮小しているようです。この理由ははっきりしません。なお、B滑走路のコンターが北に長く、南に短いようになっていますが、これは、現在のB滑走路が北に延長されているのに、空港の外形が本来計画のまま描かれているためです。

3、A滑走路の騒音は軽減、B滑走路はほぼ変化なし
 A滑走路のコンターが縮小している事は下表左のWECPNLの推移グラフからも読み取れます。しかし、下表右下のB滑走路のWECPNL推移のグラフを見ますと、B滑走路ではほとんど横ばいか、所によってはややあがっているところもあります。

 この原因はA滑走路の高騒音機が年々少なくなっているのに対して、B滑走路ではB-474型機のような大型の高騒音機が使えないために、使用機種が変わらない事にあると考えられます。下表は共生財団の「平成18年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」からとりましたが、この事を良く表していると思います。

 この傾向も2010年3月供用開始の2500m平行滑走路(B滑走路)の完成で大きく様変わりすると考えられます。特にB滑走路では大型機の発着が始まり、発着回数も相当増える事になりますので、影響は大きいと思います。

以上

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