第31回騒音対策委員会報告

(2004年3月25日;ヒルトンホテル成田)

(各委員の発言とそれに対する答弁です。録音を聞きながら要約しましたが、聞きにくい所もあり、発言者の意図を正確に要約していない所もあるかもしれません。)

玉造委員長挨拶(空港公団副総裁)
 今回から光町と栗源町が正式会員となった。発着回数は過去最高を記録したが、旅客数は昨年を下回っている。貨物量は過去最高を記録した。航空機騒音はわずかながら低下した。逆転現象も起こったが、評価方法の見直しについては環境省で進めている。環境対策については「覚書」の確実な実施を行っていく。4月1日から特殊会社に移行するが、この中でも環境対策の確実な実施を義務づけられている。きめ細かな環境対策・共生策を確実に実施していく。 完全民営化のためには空港容量の増加と平行滑走路の2500m化が必要であり、皆様のご協力をお願いしたい。

【質疑応答】

成田地区部会(小林成田市長)
 
2月16日に地区部会を開いた。4点についてお願いしたい。第1点は民営化後も新会社と住民の共存のために周辺対策を「覚書」に基づいて確実に実施していただきたい。第2点は騒特法の地域指定による集落の分断で地域は混乱している。早急に住民との話し合いの場を設定し、納得のいく形で解消して欲しい。次に騒音評価方式であるが、現在の評価方式は地域住民の実感と乖離しているし、逆転現象も起こっている。環境省で見直しているとの事であるが、1日も早く、住民が納得できるものにして欲しい。第3点は平行滑走路整備であるが、現在の平行滑走路が北側にのばされている事により北側の騒音被害が拡大している。本来計画通りの2500m平行滑走路整備をお願いしたい。第4点は空調機器の機能回復の更新申請期間を設置後7年から8年程度にして欲しい。メーカーでは耐用年数を7年から8年としている。これに対して、国は10年とし、設置後10年経たないと更新の申請が出来ない。10年以内に機器が壊れてしまう事もままある。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 地域共生策は「覚書」の通り実施していく。

国土交通省(冨田東京航空局保安部長)
 第2点の地域指定であるが、成田空港では騒防法と騒特法が補完し合って対策を実施している。実態を細かに監視して必要があれば随時見直しを行っていきたい。評価方式であるが、現在環境省で慎重に検討が行われていると聞いている。現在のWECPNLについても30年間使われてきてそれなりに機能しているのも事実で、それもふまえて検討していると聞いている。国土交通省としても逆転現象も含めて実態を把握して検討しているが、環境省の見直しに協力して行きたい。

千葉県(赤塚空港地域振興課長)
 騒特法の地域指定については80WECPNLコンターに基づいて市町村と相談しながら分断がないように指定した。実態について注視していきたいが現状は騒音が80WECPNL以内に収まっている。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 区域の見直しについては5年ごとに検討する事になっている。集落分断の実態を把握し、騒音値を注視していきたい。

国土交通省(玉木新東京国際空港課長)
 国土交通省としては本来計画の平行滑走路の建設を目指していきたい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 空港公団としても本来の2500m平行滑走路を建設するべく、現在、地権者の方々の理解が得られるよう努力している。空調機器の耐用年数については通産省で10年と決められているので、これに従っているので理解して欲しい。

芝山地区部会(相川芝山町長)
 4点についてお願いしたい。第1点は谷間対策を充実して欲しい。芝山町では暫定平行滑走路の供用開始により全町の80%が騒音地域に入った。騒防法による第1種区域には民家防音再助成や空調機器の更新などきめ細かな対策が実施されているにもかかわらず、2本の飛行コースに挟まれた谷間地域では、所によっては第1種地域の騒音よりも大きいにもかかわらずこれらのきめ細かな対策が実施されていない。これについて住民からは大きな不満が出ている。また、現行の対策は窓口も空港公団・共生財団などに分かれており分かりづらい。窓口の一元化ときめ細かな対策をお願いしたい。第2点目は「覚書」の確実な実施お願いしたい。多岐にわたり大変とは思うが、住民の不安を解消するためにも。第3点目は民営化後に空港関係者以外が株を買い占めて収益事業でない周辺対策を縮小するように圧力をかけるのではないか。この点について伺いたい。最後は空港公団所有地の有効活用であるが、新会社なっても会社担当者が地域に出向き住民の意見を聞いて話し合いの中から有効な活用方法を考えていただきたい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 騒防法第1種区域の対策は空港公団、谷間対策は市町、隣接区域は共生財団が行っている。今後は住民の皆さんの意見を伺いながら対処していきたい。

国土交通省(玉木新東京国際空港課長)
 周辺対策については民営化法の中でも会社として継続して行うようになっている。「覚書」の積み残しについては完全民営化までに継続して協議する事になっているので、真摯に協議をしていきたい。第3点目については関係者とよく擦り合わせをやっていきたい。財特法についても協力してやってきた。第4点目は今後も環境対策については配慮をしていく。民営化しても国土交通省には法律上も監督責任がある。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 空港公団としても4者協議会の「覚書」の合意事項をきちんと実施していく。土地の有効活用については今までも地力増進や草刈りなど実施してきたが、今後も地元の方々と相談しながら考えていきたい。

松尾・横芝・蓮沼・光地区部会(斉藤光町長)
 
第1点は民家防音工事の助成は家族の人数によって補助されており、4人が限度となっている。しかし、当地区は農村地帯であり世代同居家族も多く家の開口部も多い。現基準では家全体の防音工事は出来なくなってしまう。これでは防音効果も十分ではない。家族数による基準を考え直してもらいたい。また、すでに防音工事を実施した家屋についても追加措置を検討してもらいたい。さらに、出窓など最近の建築方式にそった基準の改定をお願いしたい。第2点は当地域は暫定平行滑走路供用開始より騒音地域が拡大し、騒音と落下物の不安に耐えている。当地域では平成11年から空港公団に協力をいただいてA滑走路飛行コース直下地域で空調機器の補助事業を実施しておりますが、暫定平行滑走路飛行コース直下と両飛行コースに挟まれた地域も空調機器設置補助事業対象地域にしていただきたい。また、この事業を空調機器の改修も含めて正式な補助事業としていただきたい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 騒防法の基準により定められているが、基準を満たす範囲で出窓などは検討していきたい。人数による制限は騒防法に定められているもので、難しい。空調機器設置事業は従来から要望があるが、騒音の状況などをきめ細かに測定し、その結果を踏まえて相談していきたい。

大栄・多古・下総地区部会(佐藤大栄町長)
 第1点は空港関連施設や企業の進出を周辺地域に分散化するようにお願いしたい。経済効果が当地域には及んでいない。第2点は民家防音工事の窓口を1本化していただきたい。非常に複雑で住民にとっては分かりにくい。第3点は暫定平行滑走路の東側の防音林と防音堤を早く整備して欲しい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 空港公団としても経済効果が周辺地域に及ぶ事を願っている。2500m平行滑走路を完成させる事が新たな経済効果を生み出す事になる。第2点の窓口であるが、実施するのは公団・共生財団・自治体と分かれているが、住民の皆さんはまず市町村の窓口に行く事になる。そこから分かれるのだが、引き続きお願いしたい。防音堤と防音林であるが、できるだけ防音効果のあがるよう出来るだけ高い木を植栽するなど考えていきたい。

富里・山武地区部会(相川富里市長)
 今後も2500m平行滑走路を完成させ、アジアの中心空港として発展する事を希望する。第1点は暫定平行滑走路供用開始後、利根川から九十九里浜まで直進上昇直進高下のはずなのに、コースを外れて当市上空にくる事があり住民からの苦情が多くなっている。また、運用時間外に飛んでくる事も多くなっていると苦情が来るが実態把握について説明をお願いしたい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 暫定平行滑走路供用開始以降、A滑走路で着陸復航した航空機は西側を旋回して着陸をやり直す事になり、富里市上空を飛ぶ事が多くなっている。やむを得ないものなので理解して欲しい。なお、富里市に設置されている騒音常時測定局の平成15年の騒音値は53WECPNLで騒防法の70WECPNLにはなっていない。時間外運用も機体故障などのやむを得ないものなので理解していただきたい。

佐原・神崎・栗源地区部会(岩瀬佐原市長)
 第1点は暫定平行滑走路が供用開始されて以降、飛行コースを逸脱する航空機が増えている。落下物対策をお願いしたい。第2点は環境対策の充実をお願いしたい。第3点は地域対策である。1)は交通アクセスであるが、佐原市山辺地区と大栄地区の整備をお願いしたい。2)は航空機災害に備えて消防施設整備をお願いしたい。3)は当地域にも関連企業の進出や観光客誘致などの経済波及効果が及ぶようお願いしたい。4)は周辺対策交付金の拡充をお願いしたい。

国土交通省(玉木新東京国際空港課長)
 飛行コースについては標準飛行コースとの擦り合わせを行っている。逸脱した航空会社に対しては調査を行い合理的な理由がない場合は指導を行いなくすようにしている。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 国土交通省が説明したような対応をとっている。しかし、風などの天候による場合や待機で旋回する場合もあるので、理解して欲しい。

国土交通省(馬上新東京国際空港長)
 落下物問題は非常に難しい問題であるが、根絶に向けて努力している。各国政府に対しても整備強化の要望をしている。このところ効果が出ており、年間1〜3件程度になっている。機体につく氷については年間2週間程度の到着機の着氷検査も行っている。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 空港公団としても落下物事故はあってはならないものと考えている。発生した場合は当該航空機の特定を行うようにしている。被害が発生した場合は航空機が特定できなくても補償できる体制をとっている。

国土交通省(玉木新東京国際空港課長)
 (聞き取れず。)

空港公団(伊藤地域共生部長)
 環境についての情報公開は民営化後も積極的に行っていく。

千葉県(赤塚空港地域振興課長)
 佐原市山辺地区と大栄地区の4斜線化については現在国土交通省で行っている。その他の整備については必要度の高いものから実施していく予定である。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 消防施設の整備については地域の要望を聞いて対応していきたい。経済波及効果については空港の発着回数が増加するなどの条件でより経済効果が上がると考えている。周辺対策交付金は発着回数で増減するもので一概には言えないが、来年度から配分を新方式で実施する事になっている。

河内・新利根・江戸崎部会(野高河内町長)
 第1点は暫定平行滑走路供用開始より当地域でも苦情が増えている。第1種区域の見直しをお願いしたい。また、騒音測定固定局の増設をお願いしたい。第2点は周辺対策交付金がこのところ少なくなっているが、施設の老朽化などで出費は増えている。増額をお願いしたい。第3点は特殊会社になり自由に事業が出来るようになるのだから、積極的な成長をはかって周辺対策の充実をお願いしたい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 現在、茨城県では14カ所で常時測定を行っている。その測定値は75WECPNLを下回っている。従って、第1種区域への指定は難しい。河内町では生活改善事業として町が実施している事業に空港公団も協力している。固定局の増設は現在の14カ所で騒音の把握は出来ると考えるので必要ないと考えている。短期測定については相談させていただきたい。第2点の交付金については平成14年度に見直しを行っている。そして、平行滑走路についてもA滑走路と同額にする事とし、学校、病院などに補助している。増額は発着回数によるもので難しい。地域振興策は自治体が主体となって考える事と理解しているが、空港公団としてどのような協力の方法があるか相談させていただきたい。

成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)
 (詳しくは「発言要旨」を見てください。)
 第1点は「成田空港を軍事的に利用しない」という約束を守る事、第2点は、騒音評価を「機数補正」から「騒音値補正」に変更する事、第3点は環境基準を早期に達成し、達成できない75WECPNLから70WECPNLの地域に対して民家防音対策を講じる事、第4点は民営化に関する「四者協定」の継続協議を早く開始する事、第5点は暫定平行滑走路の北側への再延伸は行わない事、第6点は需要予測の過剰な見積もりは行わない事、第7点は成田財特法の適用範囲を広げ、新規事業も採択する事、第8点は物流業者の進出に対応する周辺地域の道路整備と交通安全対策を至急行う事。それと、ここに来て初めて知ったのだが、周辺対策交付金の配分基準が改訂されたとの事であるが、この改訂にあたっては周辺市町村の意見をどのように聞いたのかお答えいただきたい。

国土交通省(冨田東京航空局保安部長)
 住民団体との約束がある事は承知しているし、従来から軍事利用しないと言う大臣の国会答弁がある事事は確かですが、今回の自衛隊の先遣隊の派遣についてはこれらに抵触しないと判断している。ただ、貴会との話し合いの内容や約束について防衛庁に伝えてある。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 今回の派遣については通常の乗客として出発したもので問題はないと考えている。

国土交通省(冨田東京航空局保安部長)
 おっしゃる通りWECPNLはICAOの勧告を日本式に簡略化したものであるが、逆転はごく限られた場合に出てくるものであり、30年間使われてきたと言う実績もある。今後環境省とも検討していきたいと考えている。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 空港公団としては発生源対策などに進めてきている。75WECPNL未満の地域でも屋内では環境基準を達成する環境になっていると考えており、隣接地域の対策なども行っている。今後とも、市町村や県などとも協力して勤めていくので理解して欲しい。

国土交通省(玉木新東京国際空港課長)
 四者協定の検討事項を完全民営化までにという事ですが、完全民営化というのは政府が保有する株を全て売却する事で、株式市場の情勢により一度に全部というわけにはいかない。3年後には東証への上場条件をクリアーして上場するという事で、完全民営化はその先の事になる。それまでに、よく相談して結論を出したいという事である。平行滑走路の2500m化については本来計画で完全空港化を目指したい、という事だ。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 空港公団は本来の2500m平行滑走路を目指して、地権者の方々の理解が得られるように全力を尽くすつもりである。

国土交通省(冨田東京航空局保安部長)
 需要予測であるが、13年度の白書に出てくる予測は7カ年計画の当初に作成した予測を7年間使ってきたものである。14年度の予測は7カ年計画が終わって検討し直したものであり、1年で突然変わったものではない。

千葉県(赤塚空港地域振興課長)
 千葉県としても成田財特法は周辺整備の最重要課題と考えている。今後の5年間、全力を挙げて取り組むつもりである。また、将来課題が出てきた時は周辺市町村とも協力して検討していきたいと考えている。成田空港周辺の渋滞対策としては環状道路の整備を最重要課題として考えており努力している。交通安全対策については今後の様子を見ながら考えていきたい。

空港公団(伊藤地域共生部長)
 周辺対策交付金の改定については周辺の市町村に新会社法の説明を行った時に一緒に説明をしている。

以上

 以上が騒音対策委員会の要約ですが、5月か6月に議事録が送られてきますので、本会の発言部分とそれに対する回答部分については議事録を載せたいと思います。

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